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あとのことはどうでもいいから

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

森戸塾に入ってくる生徒には、塾が初めてという子もいれば、それまで通っていた塾を辞めてくる子もいます。

それまでの塾を辞めてきた子には、必ずその理由を聞くようにしています。

最も多い理由は「成績が上がらなかった」です。

そのほかにもいろいろな理由が挙がりますが、意外と多いのがこれです。

「授業が騒がしくて集中できなかった」

生徒どうしの勝手なおしゃべりや、生徒が持ち込んだスマホの着信音が騒がしく、なかなか授業に集中できなかったというのです。

もしそれが事実であれば、塾として「あり得ない状況」です。

しかし、残念ではありますが、あちこちの塾でその「あり得ない状況」がまかり通っているのが現実です。

特に、誰もが名前を知っているような大きな塾ほど、その傾向が強いと言えます。

一般的に、塾は「大きいほど信頼できる」と思われています。

それだけたくさんの生徒が通っているわけだから、それなりに何か優れたものがあるのだろうという考えです。

保護者の方々のそのような考えを否定するつもりはありません。

どんな分野の商品においても、多くの人に支持される商品には、支持されるだけの理由があるからです。

しかし、学習塾に関しては必ずしもそうとは言いきれません。

「規模=(イコール)指導のすばらしさ」ではないのです。

学習塾業界は、とても労働条件の悪い業界です。

大手学習塾は特にそうです。

1日の労働時間がとても長く、なかなか休みがとれません。

ちなみに、私が勤めていた大手学習塾では、1日の労働時間が最短で12時間でした。

「最長」ではなく「最短」でです。

仕事を終えて帰宅すると、深夜の2時や3時が当たり前でした。

帰宅途中に検問に合うこともたびたびです。

「塾の先生ってこんな遅くまで働いてんの!?」

塾講師の激務ぶりに、警察の人もビックリです。

また、週に2日のはずの休日が、実際にはたったの1日だけでした。

そして、その休みも、研修や会議でたびたび潰されました。

教室責任者をしていたときは、年間の休日が50日もありませんでした。

当然、心身ともに疲労の限界です。

こんな状況ですから、社員の定着率がとても悪く、新しい社員が「入ってきてはすぐに辞める」のくり返しでした。

これでは、なかなか「いい人材」は育ちません。

肩書ばかりが「プロ」の「実質素人」が、ほとんどまともな訓練もなく生徒の前に立つことになります。

近くの席どうしで勝手におしゃべりを始める生徒。

堂々と机の上にスマホを取り出して、友達からのメッセージを確認する生徒。

無気力にボーっとしている生徒。

当然、このような生徒を叱って、授業に集中させることなどできません。

では、なぜこのような状況にもかかわらず、大手の学習塾にはたくさんの生徒が集まるのでしょうか。

それは「宣伝による効果」です。

大手の学習塾は宣伝に莫大な費用をかけています。

春休みや夏休みなどの前になると、たびたび新聞にチラシを入れ、ダイレクトメールをくり返し発送します。

また、学校の前でのチラシの配布もしょっちゅうです。

宣伝には「質」と「量」の両方の側面があります。

大手の学習塾は、特に「量」を重視します。

それは、人間には「くり返し触れた情報ほど信用してしまう」という傾向があるからです。

テレビCMでたびたび目にした商品を、買い物の時に何となく手に取ってしまうということがあるかと思います。

まさにそれです。

くり返し宣伝に触れていると、何となく「それが良いものである」ような気になってしまうのです。

もう何年も前になりますが、うさぎのキャラクターで有名な、ある英会話スクールが経営破たんをしたことを覚えているでしょうか。(現在は別会社が引き継いでいます)

その英会話スクールはキャッチーなコピーとともに、大量のテレビCMを流していました。

そして、全国でおよそ600校もの教室を展開していました。

しかし、その実態はあまりにもお粗末なものでした。

指導の内容をおざなりにして、無理な拡大路線を突き進んでいたのです。

その結果、資金繰りが悪化して、多額の負債を抱えて経営破たんをしてしまいました。

前払いをした授業料は戻ってくることなく、多くの人が泣き寝入りをしました。

このように、形のない「サービス」を売る教育ビジネスは、宣伝に実態がともなっていないことが多いのです。

そのような塾やスクールにはこのような考えが強く浸透しています。

「あとのことはどうでもいいから、とにかく生徒を入れてしまえばいい」

そして、そのためにかなり誇大と言える宣伝を、大量におこなっているのです。

毎月安くない授業料を払い、わざわざ送り迎えまでして通わせている塾で、子どもは勉強をするどころか遊んでいた。

保護者の方にとっては信じられない話かもしれませんが、それが当たり前なのが、実は塾業界なのです。

今日はこのへんで。