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偽りの勝利

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

昨日までとは一転して、今日はとてもいい天気です。

これを書いている現在は、まだ午前中なのですが、これから午後にかけて気温も上がり、最高で18℃になる予想です。

ひとまず先に春の陽気ですね。

春といえば「花粉症」ですが、今年はマスクが手に入るかが心配です。

例の新型肺炎騒ぎで、店頭ではマスクが品薄とのこと。

本格的な花粉症シーズンまでにはおさまってもらいたいですが、なかなか簡単にはいかなそうです。

これ以上騒ぎが大きくならずに、収束してくれることを祈るばかりです。

さて、昨日は塾の過激なサービスによって、子どもたちから自主性や自ら考える力が奪われてしまっている現状を書きました。

今日はそのことについてさらに書いてみたいと思います。

生徒に「過去問」を配る塾があります。

「過去問」とは、定期テストの「過去問」のことです。

定期テストが終わると、生徒たちから問題を集めます。

そして、その問題に解答をつけて、次の年の生徒に配るのです。

過去問に取り組むことはとても効果的な勉強方法です。

私の塾でも、入試の前にはかなりの量の過去問を解かせます。

ですから、定期テストにおいても、過去問を解くことは効果的な対策になるのは確かです。

しかし、塾が定期テストの過去問を配ることには、大きな問題があるのです。

中学校よっては、問題を作り変えずに、毎年同じ問題でテストを実施する先生がいるからです。

そのような場合、過去問の効果は絶大です。

ほとんど苦労することなく、驚くような高得点が取れます。

相手がチョキを出すことがわかっていて、グーを出すようなものです。

しかし、ここで考えてみてください。

それは、その生徒のためになっているでしょうか。

なっていません。

たいした努力をすることもなく、いい結果を手にしてしまったら、人間はそれ以上の努力をしようとしなくなります。

そして、何事においても、つねに安易な方法や楽な方法を探すようになります。

自分の子どもを、そのような人間に育てたいと思う親はいないはずです。

また、子どもたちには責任はありませんが、これは一種の「不正行為」です。

昨年、高校野球では「サイン盗み」の疑惑が取りざたされました。

現在では、この問題でメジャーリーグが大荒れです。

相手のピッチャーが投げてくる球種やコースがわかっていて、それをヒットやホームランにしても、それは「実力」ではありません。

単なる「不正」です。

また、それによって試合に勝っても、それは本当の勝利ではありません。

偽りの勝利です。

問題を作り変えない教師や、それを知りながら過去問を配る塾は、この「不正」を、子どもたちにおこなわせているのと同じなのです。

生徒が塾を辞めてしまう原因で最も多いのは、通っても「成績が上がらない」というものです。

成績が上がることを期待して塾に通うわけですから、それは当然のことです。

ですから、塾は生徒の成績が上がるように、最大限の努力をしなければなりません。

しかし、大手の学習塾をはじめとして、一部の塾ではその努力が「おかしな方向」に向かってしまっています。

過去問を配る以外にも、退塾が危ぶまれる生徒に、模擬テストの問題を事前にこっそり教えている塾があるという話も聞きます。

事実さえわからなければ、保護者にとっては成績が上がったかのように見えます。

もうちょっと様子を見てもいいかなという気分にもなります。

塾はこれによって、その生徒の退塾を引き伸ばすことができるわけです。

私の塾でも、模擬テストをおこなう機会があります。

問題はテスト実施の1週間ほど前に届きます。

ですから、問題の中身を見て、生徒たちに事前にそれを伝えることは、やろうと思えばできなくないことです。

しかし、当たり前ではありますが、私はそのようなことをいっさいしません。

それどころか、テスト実施の直前まで、問題の中身を見ることもしません。

見てしまったら、授業の内容をついついそれに合わせてしまいそうだからです。

また、私の塾では、入試直前に「山を張る」こともしません。

「今年はこれが出る!」

このように高らかと宣言して、実際にそれが出なければ生徒が動揺するだけです。

実際のところ、理科などは過去の出題の傾向を見ることによって、その年に出題されるであろう分野をある程度予測することが可能です。

しかし、それを毎年行っている大手学習塾で、ある年に大きく予測を外したことがありました。

試験直前は、予測にしたがった指導しかしておらず、それががほとんど出題されなかった本番の試験で、生徒がたいへん動揺してしまったそうです。

私たち大人が教えるべきことは、どんな問題が出てもいいように、しっかりとした準備を怠らないという姿勢のはずです。

この当たり前のことを、子どもたちにきちんと伝えることができる大人でありたいと思います。

今日はこのへんで。