ハッピーエンド

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

昨日は午前中の授業を終えて、ヨークベニマルに買い物に出かけました。

すると、鮮魚のコーナーで「イナダ」が売られていました。

ブリの小さいやつです。

値段は400円ほどで、いつもよりちょっと安めです。

即決して、お店で三枚おろしにしてもらいました。

身は切り身にして焼き魚です。

朝食に適したサイズで4切れほど取れます。

もちろん、アラも持って帰り、出汁を取ってお吸い物です。

どちらも今朝の朝食で美味しくいただきました。

大阪には「始末の心」というのがあるそうです。

始末とは、節約や倹約のことだそうですが、この心が料理にも浸透していて、食材は余すことなく使い切るのが大阪流だそうです。

ですから、今朝はまさに「始末の料理」をいただいた気分です。

さて、受験には受験生の数だけドラマがあります。

毎年、この時期になるといろいろなドラマを思い出します。

今日はそのなかで、Y君のお話を紹介したいと思います。

Y君は中1になるのと同時に森戸塾に入塾しました。

私の指導を忠実にまもり、コツコツと勉強する真面目な生徒でした。

そんなY君も中3となり、いよいよ高校受験です。

学校の三者面談に先立って、私の塾では毎年10月に、3年生全員のご家庭と三者面談をおこないます。

Y君の志望校は足高です。

しかし、下野テストの結果から見ると、ちょっと厳しそうです。

お母様が心配そうに言いました。

「どうなんでしょうか?先生」

「3月までまだ時間がありますから、もう少し様子を見ましょう」

私は10月の三者面談で、めったに「無理」という言葉は使いません。

特に、コツコツと勉強をしている生徒の場合はなおさらです。

実は、受験生の学力は、1次関数の直線のように伸びるわけではありません。

2次関数の放物線のような形で伸びるのです。

ですから、一生けんめいに勉強していても、はじめはその成果が目に見えない時期がしばらく続くのです。

しかし、そこを我慢してがんばり続けると、やがて本人もビックリするくらいに学力が急上昇するときが来るのです。

Y君が熱心に受験勉強に取り組んでいるのは知っていました。

ですから、私は「まだ決断を下すのは早い」と判断したわけです。

しかし、正直、心配な点もありました。

学力の上昇が、果たして受験までに間に合うかという点です。

しかし、それについては見守るしかありません。

私はY君を信じて見守ることにしました。

しかし、それからもなかなかY君の成績は上がりませんでした。

年が明けて1月、Y君のご両親と再度面談をおこなうことになりました。

「主人と私は志望校を変えたほうがいいと言っているのですが」

「Y君は何て言っているんですか?」

「ダメでもいいから足高を受けたいと言っています」

正直、どう返答すべきか迷いました。

時期的に、もう受けることができる模擬テストもありません。

しかし、授業のときの様子を見ると、以前より力がついてきているのが明らかにわかります。

そこで、私はこう言いました。

「あと、もうちょっとだけ待ってみましょう」

そのあと、私は保存してあった下野テストの過去問をY君に渡し、時間を決めて実戦形式で解いてもらいました。

そして、それをすべて採点してデータと照らし合わせて、おおよその偏差値を割り出しました。

すると、大きく偏差値が上がっているではないですか!

「間に合うぞ!」

私は心の中でこう叫びました。

そして、お母様にすぐに連絡して、志望校はこのまま足高でいけそうだと伝えました。

合格発表の日、私はドキドキしながらY君の報告を待ちました。

すると、教室の前にY君の家の車が停まり、しばらくすると教室のドアが開きました。

「ど、どうだった?」

「合格しました!」

Y君は満面の笑みでそう答えました。

「よかったなぁ!よかったなぁ!」

私は何度もくり返しました。

「このたびはおめでとうございます」

お祝いの言葉を申し上げると、お母様がこう言ってくださいました。

「本当に先生のおかげです」

目にはうっすらと涙が見えます。

私も子を持つ親なのでわかりますが、受験生の親はがんばるわが子を、心配しながらただ見守ることしかできません。

ですから、これまでのお母様の気持ちを考えると「ほんとうによかった」と思いました。

また、お母様は続けてこうおっしゃいました。

「ただ一つ後悔しているのは、上の子をもっと早く先生のところに預ければよかったということです」

Y君にはお姉さんがいます。

このお姉さんは中3になる時に私の塾に来ました。

でも、お姉さんもしっかりとがんばって、第一志望の高校に合格しています。

それでも、そうおっしゃってくださったことに、塾の講師としてこれ以上ない喜びを感じました。

今年の受験生たちのドラマは「現在進行中」です。

全員がハッピーエンドとなるように、全力を尽くしたいと思います。

今日はこのへんで。