こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。
今日は、教室で日々中学生を教えているなかで、強く実感していることについてお話ししたいと思います。
それは――
ここ数年で、もっとも難易度が上がった教科は、英語であるということです。
他の教科にも細かな変化はありますが、内容の量、質ともに最も大きく変化したのが英語です。
保護者の皆さまの中には、「うちの子どもは英語が苦手」と感じている方も多いのではないでしょうか。
その背景には、文部科学省が定める学習指導要領そのものの大きな変化があるのです。
たとえば、英単語の数。
現在、中学生が3年間で覚えなければならない英単語は1600〜1800語程度です。
これは平成29年度以降の学習指導要領に基づいていますが、それ以前までは約1200語でした。
つまり、たった数年の間に中学生が習得すべき単語量は1.5倍に増えているのです。
しかも、令和2年度からは小学校でも英語が正式な教科となり、そこでも600〜700語を学ぶことになりました。
小中学校を合わせた高校入試レベルで求められる語彙数は、今では2200〜2500語にも達すると言われています。
以前は1200語で受験できていた高校入試が、今では倍以上の語彙力を前提とした試験になっている。
これは、現場で教えている私から見ても、かなり厳しい変化です。
実際、教科書に準拠したテキストを使って授業をしていると、「これ、ちょっと前までは高校生が習う単語だったよな」と思うことが少なくありません。
内容も高度化し、テーマも“地球温暖化”や“人工知能”、“多様性”など、より抽象的で社会性の高い題材が増えてきています。
文法面でも同様の傾向があります。
たとえば「仮定法(仮定法過去)」や「現在完了進行形」など、以前は高校で扱っていた文法事項が、現在では中学生の学習範囲に含まれています。
そして、昨日の中2の授業では、「自動詞と他動詞」をテーマに扱いました。
これも、かつては高校の文法で教えていた内容です。
簡単に説明すると、自動詞とは目的語(~を・~に・~が)を必要としない動詞です。
「歩く」や「走る」などがこれに当たります。
一方で、他動詞は目的語を必要とする動詞です。
「パンを食べる」の「食べる」、「あなたにあげる」の「あげる」、「サッカーが好き」の「好き」などが該当します。
他動詞は目的語があって、はじめて文が完成します。
ここで注意すべきなのは、英語と日本語の違いです。
日本語では、「私は食べます」「私は好きです」と言っても、特に不自然に聞こえません。
目的語がなくても、会話が成り立ってしまうのが日本語の特徴です。
しかし、英語ではそうはいきません。
“I eat.” や “I like.” のように目的語が欠けていると、ネイティブにとっては意味が通じない、あるいは非常に不自然な文になります。
英語では、他動詞は必ず目的語を伴って使わなければならないのです。
この点を生徒たちに実感してもらうために、先日の授業では、ちょっと面白い例を紹介しました。
皆さんもご存じだと思いますが、「とにかく明るい安村」さんというお笑いタレントがいます。
彼の決めゼリフ、「安心してください。はいてますよ」は非常に有名ですよね。
彼がイギリスのオーディション番組に出演した際、そのセリフを英語でこう言っていました。
“Don’t worry. I’m wearing.”
このセリフを聞いた会場の観客や審査員は、一斉にこう叫びました。
“Pants!”
ちょっとしたコール&レスポンスのような雰囲気で、会場が一体になって盛り上がっていました。
なぜ日本では観客が何も言わないのに、イギリスでは“Pants!”と続けて言ったのか?
それは、“wear”が他動詞であることが理由です。
英語では、“wear”という動詞は目的語が必要です。
つまり、“I’m wearing.” だけでは意味が通じず、「何をはいているの?」という感じになってしまうのです。
そのため、観客が“Pants!”と叫ぶことで、ようやく文としての意味が完成するのです。
この話をしたとき、映像を見たことがある生徒たちは「なるほど、そういうことだったのか!」と腑に落ちた様子でした。
まだ見たことがないという生徒には、「YouTubeで探して見てごらん」と勧めておきました。
やはり勉強というのは、テキストに書いてあることをそのまま教えても、なかなか頭に入りにくいものです。
特に英語、国語、社会などのような、いわゆる文系科目はその傾向が強いと感じます。
どうすれば、無味乾燥な知識を身近な現実と結びつけられるか?
どうすれば、生徒が「わかる!おもしろい!」と感じられるか?
それを常に考えながら授業に取り組むことが、塾講師としての大切な役割であり、やりがいでもあります。
ただテキストに書いてあることを説明するだけなら、正直、誰にでもできることです。
でも、そうではなく、生徒の心に残る授業をすること――それがプロの仕事だと思っています。
もちろん、すべての教科、すべての単元を常にこのように教えるのは簡単ではありません。
でも、だからこそ常にアンテナを張り、情報を集め、よりよい授業のために日々工夫と努力を重ねていかなければなりません。
これからも、生徒たちがより生き生きと学んでいけるような授業を届けられるよう、全力で取り組んでまいります。
今日はこのへんで。
