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子どもたちの本当の力を信じて——杭につながれた象の話から学んだこと

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

突然ですが、みなさんは「サーカスの象」というお話をご存じでしょうか。

これは、アレクサンダー・ロックハートという人が著書『自分を磨く方法』の中で紹介している寓話です。

内容はとてもシンプルですが、私たち大人に、そして何より子どもたちにとって、とても大切なことを教えてくれる話です。

サーカスの象は、大きくて立派な体をしています。

その気になれば、地面に打たれた杭なんて、簡単に引き抜いて逃げることができるはずです。

しかし、その象は細いロープで杭につながれて、じっとその場にとどまっているのです。

なぜなのでしょうか?

その理由は、象がまだ小さかった頃にさかのぼります。

幼い象は、まだ力もなく、太い鎖で杭につながれていました。

何度も逃げ出そうとしますが、どうしても引き抜くことができません。

毎日がんばってもがんばっても抜けない杭。

やがて象は、「自分には、この杭を引き抜く力がないんだ」と思い込むようになってしまいます。

時は流れ、象は大きく成長します。

太い鎖は細いロープへと変えられています。

今の彼なら、ロープを引きちぎったり、ロープごと杭を引き抜くことなんて簡単です。

ですが、幼い頃の思い込みが心に残り、象は「どうせムリだ」と、何の行動も起こさずにそこに立ち尽くしているのです。

私はこの話を初めて読んだとき、胸が苦しくなるような思いがしました。

そして、ふと気づきました。

「これは、今の多くの子どもたちにもあてはまるのではないか」と。

つまり、「自分にはできない」「自分には力がない」と思い込んでしまっていて、本来持っている力をまったく発揮できていない子が、とても多いのです。

ここで、まずはっきりさせておきたいことがあります。

それは、「どんな子でも、力を持っている」ということです。

これは塾講師として20年以上子どもたちを見てきた私の確信でもあります。

では、なぜその力を信じられず、発揮できないままになっているのでしょうか?

答えはシンプルです。

多くの子が、「そう思えるような環境に、これまで恵まれてこなかっただけ」なのです。

子どもがある教科に興味を持てるかどうかは、ほぼ100%教える側の力量にかかっています。

同じ教科であっても、教える先生によって、子どもたちの目の輝きはまるで違います。

そして、「勉強ができるようになるかどうか」の最初の一歩は、「子どもたちがそれを面白いと思えるかどうか」なのです。

したがって、生徒たちに「これは面白い!」と感じさせることこそが、教える人間にとって最も大事な仕事なのです。

しかし残念なことに、学校でも塾でも、その部分に本気で取り組んでいる先生は、まだまだ少数派です。

子どもたちの多くは、「面白い」と感じさせてくれる先生に出会えていないのが現実です。

それだけではありません。

実はほとんどの子が、「どうやって勉強したらいいか」を教わっていません。

やみくもに教科書を広げ、ノートを取り、覚える。

でも成果が出ない。

だから、「自分は勉強ができないんだ」と思い込んでしまう。

違うんです。

正しいやり方を教えてもらっていないだけなのです。

したがって、私は自分の指導のなかで、まず「勉強っておもしろい」と思ってもらうこと、そして「正しい勉強のやり方」を丁寧に伝えること、この2つをとても大切にしています。

それでも、一番の土台になるのはやはり「家庭」です。

まずは「興味を引き出してくれる」「勉強のやり方をきちんと教えてくれる」先生を探してあげてください。

学校は選べませんが、塾は選べます。

情報をしっかり集め、見かけの雰囲気や広告だけに惑わされず、信頼できる塾を選んでください。

そしてもうひとつ。

お子さんが見せた小さな成果を、ぜひ見逃さずにほめてあげてください。

たとえば、テストの点数が5点だけ上がった。

順位が3つだけ上がった。

前より10分だけ長く机に向かえた。

それでいいんです。

「今回はこれができたね!」と認めてあげる。

例えば、定期テストの結果がかえってきたときなど、上がった教科があるのにもかかわらず、下がった教科ばかりに目を向けて、そこばかり叱ってしまうのはとてももったいないことです。

もちろん、叱ることも必要な場面はあります。

でもそのときに大切なのは、「結果」ではなく「プロセス」を見て叱るということです。

たとえば、

・ふだんの復習をサボっていた。
・苦手な教科から逃げていた。
・スマホやゲームに時間を取られすぎた。

こうした原因をしっかり子どもと一緒にふり返り、「じゃあ次はどうするか?」を考えさせる。

感情的になって「なんでこんな点数なの!」と責めても、子どもも感情的になって終わってしまいます。

でも、プロセスを一緒に考えることで、次の一歩を自分で見つけられるようになります。

小さな進歩を認めてもらうこと。

結果ではなく努力の過程を評価してもらうこと。

そしてプロセスを見つめなおして改善していくこと。

そんな経験を積み重ねることで、子どもたちは「自分にも力があるんだ」と、少しずつ信じられるようになっていきます。

「自分にはそれができる力がある」

一人でも多くの生徒がそう思えるように——。

森戸塾では、子どもたちが杭を引き抜いて自由に歩き出すための「はじめの一歩」を、いつも全力でサポートしています。

今日はこのへんで。