いったい誰得?

こんには。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

今日から6月です。

早いもので教室の移転からほぼ1か月が経ちました。

生徒たちもだいぶ新しい教室に慣れたようです。

私も最初の何日間かは違和感があったものの、すでにこの新しい環境が「当たり前」になりつつあります。

今では前の教室で授業をおこなっていた日々が、はるか昔のような気がします。

引っ越しにあたっていろいろと心配なこともありましたが、やはり「案ずるより産むが易し」です。

あれこれ考えてばかりいないで、実際に行動してみることの大切さを再認識しました。

さて、ほぼすべての中学校で1学期の中間テストが終了しました。

私の塾でも、現在生徒たちの結果を収集中です。

実は、長らく塾講師をしている中で、定期テストが近づくたびに疑問に思うことがあります。

それは、学習塾がおこなう「定期テスト対策補習」は、いったい「誰得」なのだろうということです。

大手学習塾などを中心に、授業終了後の深夜や、テスト直前の土曜日や日曜日などに、定期テストに向けての大規模な無料補習をおこなうところがあります。

これにより定期テストでもばっちり点数が取れるとして、その塾のウリとしているところも少なくありません。

しかし、果たして本当に点数が取れるのでしょうか。

かつて大手学習塾に勤務していた私の経験から言うと、全体的に見て8割ほどの生徒にとっては、補習の効果はあまりないように思えます。

それには理由があります。

勉強とはふだんからコツコツとするものであり、テスト前に詰めこむものではないからです。

わかりやすく言えば、ふだんほとんど練習をしない野球チームが、試合前の1週間だけ猛練習をしても、強いチームには勝てないのと同じことです。

それと同じように、ふだんほとんど勉強をしない中学生がテスト前の補習に参加しても、何となく勉強をした気にはなりますが、ただそれだけです。

決して結果にはつながりません。

したがって、本来塾がしなくてはならないことは、生徒たちに継続した勉強の大切さを教えることであり、そのサポートをしっかりとしていくことではないでしょうか。

もちろん、私の塾ではそのような方針のもとで指導をおこなっています。

さらに言えば、この対策補習ですが、効果がないどころかマイナスにもなりかねません。

生徒たちにとって、ふだんの授業の意味がとても軽いものとなってしまうのです。

「どうせ補習でまた同じことをやるから」

このように考えて、授業に集中しなかったり、安易に塾を休むようになります。

当然ですが、ふだんおこなうべき家庭学習もおろそかになります。

そして、テスト前になってあわてて勉強をするのですが、やはり点数は取れません。

そして、そんなことを繰り返しているうちにだんだんと時は過ぎ、気がつけば高校入試となってしまうのです。

実はそんな中でも補習の効果が見込める生徒もいます。

ふだんからコツコツと勉強をしている生徒です。

そのような生徒にとっては、補習がふだんの勉強の「仕上げ」となります。

しかし、それが可能となる生徒は全体的に見ておそ2割ほどしかいません。

また、そのような生徒は自分なりの勉強方法を確立しているので、へたに補習に参加するよりも、自分の考えた内容で勉強したほうが、さらに点数を取ることができます。

このように、ほとんどの生徒にとって、やはりテスト前の対策補習は意味がないのです。

ところで、この定期テスト対策補習ですが、教える側の講師にとってはかなり大きな負担となります。

授業後の深夜や土曜日の午前中、または休日であるはずの日曜日など、本来であれば就業時間ではない時間に働くこととなり、これが長時間労働の温床となっています。

ここのところ「ワークライフバランス」という言葉がさかんに使われるようになりましたが、まさにそれと逆行しています。

さらに言うと、その分の報酬が満足に支払われていない塾もたくさんあります。

ですから、定期テスト前の無料補習は、現場に立つ講師たちの自己犠牲のうえに成り立っているサービスとも言えるのです。

モノであれば原価がありますので、基本的にはお客さんにタダで商品を提供することはありません。

しかし、勉強を教えるというサービスには原価がありません。

ですから、他塾との競合に勝つために、学習塾の経営者はついつい過剰なサービスに走りがちです。

そして、現場の講師たちがその負担を一身に背負う形となるのです。

30年にわたる景気の低迷により、日本人は「無料」や「激安」といった言葉に慣れてしまったと言われています。

しかし、どんなサービスにもそれ相応のコストがかかっており、本来は無料のサービスなどないはずなのです。

このように、休日や深夜の補習で「いったい誰が得をするのか?」ということを考えてみると、子どもたちや塾業界が抱えるさまざまな問題が浮かび上がってくるような気がします。

今日はこのへんで。

(写真は新しい教室での授業風景です。森戸塾の生徒は授業中にムダなおしゃべりをしたり、勝手なことをしている生徒はゼロ。すべての生徒が1回1回の授業を大切にしています)