こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。
私はいつも、ジーンズにシャツといった格好で授業をしています。
森戸塾の授業は、生徒どうしのおしゃべりや、だらけた雰囲気がいっさいない、緊張感あふれた授業です。
ですから、私がラフな格好のほうが、生徒も必要以上に緊張しないだろうという考えからそうしています。
しかし、昨日はスーツにネクタイという、ふだんとはだいぶ違った出で立ちで授業をおこないました。
理由は、着替える時間がなかったからです。
実は授業の前、行政書士会の研修があり、宇都宮まで出かけていました。
帰りの時間が夕方のラッシュに重なったため、高速を降りたあとの50号バイパスが思いのほか混んでいました。
それで、予想していた帰宅時間をだいぶ過ぎてしまったのです。
ほとんどの生徒が私のスーツ姿を見るのは初めてなので、とても不思議そうな顔をしていました。
せっかくの機会だと思ったので、私は生徒たちにスーツ姿の理由を話し、授業の前にこんな話をしました。
その日、私が参加した研修は、行政書士会の「国際部」というところが主催したものです。
研修では「出入国管理及び難民認定法」という法律をもとにして、外国人の在留についてのさまざまな事例を検討します。
この、俗に言う「入管法」ですが、国際化社会の進展を受けて、たびたび改正が行われています。
したがって、それにともなって行政書士も、新しい知識を学ぶ必要があるわけです。
「ライフ・シフト」という本をご存知でしょうか。
2人のイギリス人教授によって書かれたこの本には、このような副題がつけられています。
「100年時代の人生戦略」
人類の平均寿命は年々伸び、間もなく人生100年の時代を迎えると言われています。
人生80年の時代には、人生は3つのステージから成り立っていました。
20歳までの学生時代で学んだ知識をもとにした仕事を、40年間ずっと続け、引退してからの20年間を、年金をもらいながらゆっくりと過ごすといった具合です。
しかし、人生100年の時代になると、こうはいかなくなります。
60歳で引退したあと、人生がまだ40年もあるのです。
この40年間を、年金だけを頼りに過ごせる人はほとんどいません。
つい最近も、公的年金だけでは老後資金が2000万円足りないという、金融審議会の報告書が大きな問題となったばかりです。
ちなみに、この2000万円という数字は、老後が30年という設定で出された数字です。
また、年金財源の悪化に伴い、年金の支給額はこれからますます減り続けることが予想されます。
そうなれば、足りない金額はさらに2000万円どころではなくなります。
したがって、これからの世の中を生きる世代は、必然的に最低80歳くらいまでは働かなければならなくなるのです。
人生において働く期間が、今までの40年から60年へと、いっきに延長されるのです。
それにより大きな問題が生じてきます。
「果たして、同じ仕事を60年も続けることができるだろうか」ということです。
これは、本人が途中で飽きるとか飽きないとかという話ではありません。
その仕事そのものが、60年間存在し続けるかどうかという話です。
世の中にはいろいろな仕事がありますが、それらは時代とともに生まれ、変化し、そして消えていきます。
一説によると、企業の寿命は30年とも言われています。
国際情勢はめまぐるしく変わり、新しい技術はあっという間に古いものとなってしまいます。
この流れはますます加速しています。
つまり、これからの世の中においては、学生時代に学んだことをもとに選んだ仕事を、一生涯にわたって続けることができる人はいなくなるということです。
ほとんどの人が、人生のどこかで、それまでとはまったく違ったことに挑戦しなければならなくなるのです。
しかも、それは1回とは限りません。
そして、そのつど「新しい学び」が必要となるのです。
したがって、これからは「勉強は学生の時まで」というわけにはいかなくなります。
「一生を通じて学ぶ姿勢」が大切になり、学ぶことと人生が、さらに密接にかかわってくるようになるのです。
「働かざるもの食うべからず」ということわざがあります。
しかし、これからは「学ばざるもの食うべからず」です。
これからの世の中は、たとえ働く意思があっても、学ぶ意志がなければ、その機会を得ることが難しくなります。
ですから、まずは社会に出る前に、学ぶことの大切さを理解し、学ぶ姿勢をしっかりと身につけることが重要なのです。
そんなことがわかってもらいたくて、生徒たちに向かって語った内容でした。
「何だか大変そうだな」と、思わずため息が出てしまいそうですが、見方を変えれば、いろいろなことに何度でも挑戦できる人生ということも言えます。
そのようにとらえれば、それはそれで、何だかとてもわくわくしてくるような気がします。
今日はこのへんで。