他人はどうであれ

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

早いもので9月ももう後半です。

日が沈むと、今までよりはだいぶ涼しく感じるようにはなりましたが、日中は相変わらずの暑さに閉口します。

また、先日は夕方からいきなりものすごい雷雨となりましたが、ごうごうと滝のように降る雨はまさに南国のスコールのようでした。

最近の日本の気候は「四季」ではなく「二季」になりつつあるそうです。

はっきりとした春と秋がなくなって、冬からいきなり夏へ、そして夏からいきなり冬へと季節が変化しているようにも感じます。

そういえば我が家のリビングには、ほぼ1年を通して扇風機かファンヒーターのどちらかが置かれているような気がします。

最近では気候変動という言葉をたびたび耳にしますが、自分たちが子どもの頃とは、明らかに気候が変わってしまったことを実感します。

さて、今日は過去にもたびたび扱ってきたテーマですが、足利の子どもたちの学力について書いてみたいと思います。

ひじょうに残念なことですが、足利の子どもたちの学力は、他の地域とくらべてかなり低いのが現状です。

県立高校のレベルを見るとよくわかります。

まず、この地域でトップ校である足利高校ですが、インターネットで調べてみると、合格可能偏差値が57となっています。

これを近隣地域のトップ校と比較してみると、栃木高校は67、栃木女子高校は63、太田高校は68、太田女子高校は64、桐生高校は65となっています。

もうお気づきかと思いますが、足利高校以外の高校は、すべて偏差値が60以上です。

これが意味するところは、一般的に進学校と言われる高校は偏差値が60以上ないと合格できない高校のことを指し、それを下回る高校は本来であれば進学校とは呼べないということなのです。

なぜでしょうか?

大学入試でそれなりの大学に合格するためには、まずその土台として、高校入試の段階で最低でも偏差値60以上の学力が必要だからです。

この事実は、足利高校と他の進学校の、大学進学実績を比較してみればすぐにわかります。

足利高校と栃木高校を、令和3年度の実績で比較してみます。

すると、国公立大学の合格者は足利高校が50名程度、栃木高校は150名程度となっており、3倍もの差があることがわかります。

当時の足利高校と栃木高校では、1学年あたりの定員が違いますので、その点を修正してもおよそ2倍の開きということになります。

またくわしく内訳を見ると、合格している大学のレベルも結構違います。

足利高校は、足利の中では「頭のいい子が行く学校」という位置づけとなっています。

しかしそれはあくまでも、足利の中だけのお話ということが、とてもよくわかる結果かと思います。

もうだいぶ前になりますが、お父さまの転勤で足利に引っ越してきたご家族が、私の塾に入塾の手続きにいらっしゃいました。

そのときにお母さまが、以前の中学校では学年順位が半分よりも後ろだったのに、足利の中学校に入ったら、いきなり上位のほうになったので驚いたとおっしゃっていました。

足利全体の学力の低さがよくわかるエピソードだと思います。

足利の子どもたちの学力の低さにはいろいろな原因が考えられます。

ただし1つだけ確実に言えることは、足利の子どもたちは他の地域にくらべ、ほんとうに勉強をしないということです。

そして、まわりも勉強していないから自分もしなくて大丈夫と、変な勘違いをしている子がとても多いということです。

これは、将来的に大学進学を考えているご家庭にとっては、とても困った問題です。

決して成績が悪いわけではないけれど、もっとがんばってさらに上を目指してもらいたい。

このようなご相談を、保護者様からたびたび受けます。

そして保護者様は決まったように、子どもからこう言われたとおっしゃいます。

「どうして自分だけそんなに勉強しなくちゃいけないの?」

まわりの友だちは、誰ひとりとして真面目に勉強なんてしていないのに、なんで自分だけがもっと勉強しろと叱られなければならないのかということです。

人はまわりの環境から多大な影響を受けます。

したがって、その子としては至極当然な疑問なのだと思います。

そこで、私の出番ということになります。

私の塾では足利高校を希望する生徒たちに対して、さっきまで述べてきたような足利高校と他の進学校の違いをしっかりと説明します。

するとほとんどの生徒たちが、もっと勉強をしなければならない理由をきちんと理解してくれます。

そして、偏差値60を最低ラインの目標として、さらに上を目指してがんばりはじめます。

さらには、他人は他人、自分は自分といった意識を身につけて、精神的にもさらに大人へと成長していくのです。

他人はどうであれ、自分のなすべきことをしっかりとなす。

これこそが、この足利で20年間掲げてきた、私の塾の基本的な指導方針です。

今日はこのへんで。

(写真は前回もご紹介した、北海道博物館でおこなわれてる特別展「北の縄文世界と国宝」で展示されている国宝「火焔型土器」です。およそ実用的とは言い難い形をしていますが、縄文時代の人たちの芸術センスには脱帽です。新潟県の十日町で出土したもので、今からおよそ5000年前に作られたものだそうです。写真でしか見たことがなかった実物を、今回はじめて見ることができたわけですが、長らく知っている芸能人をはじめて直に見たときのような感覚でした。芸能人といえばもうだいぶ前になりますが、森戸塾が伊勢町にあったころ、塾の真ん前でTBSのドラマの撮影が行われたことがあります。ほぼ一日がかりの撮影で、草彅剛さん、今井美樹さん、高嶋政伸さんらを見ることができました。冬期講習の真っ最中でしたが、授業中、ガラス越しにふと外を見ると、ほんの数メートルしか離れていないところに草彅さんがいて、ガラスのこちら側は現実の世界、向こう側はドラマの世界という状況が、とても不思議だったことを覚えています・笑)