森戸塾物語 その1

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

森戸塾は平成16年6月に誕生しました。

今から20年前のことです。

当時はまだ30代の若者だった私も今では50歳を過ぎ、ちらほらと白髪のまじったいい歳のおじさんになりました。

20年といえばそれなりに長い年月ですが、無我夢中で走り続けたあっという間の20年でした。

この20年の間に、ほんとうにたくさんの生徒たちに出会うことができました。

長い人生の中のほんの一時期ではありますが、彼ら一人ひとりの人生にかかわることができたのは、私にとってこのうえない幸せです。

初期の頃の生徒たちは、すでに私が森戸塾を始めたころと同じ年齢になっています。

きっと一人ひとりが立派な大人となり、自分のため、家族のため、そして社会のためにがんばっていることでしょう。

そんな昔のことを考えていたら、ふと、この20年間のことを文書にまとめてみたくなりました。

もちろん、森戸塾はこれからも未来に向けて走り続けます。

しかし、20歳といえば少し前までは成人となる年齢であり、それにならえば私の塾も今年でやっと大人となったわけです。

この1つの大きな節目を迎え、これからのためにも、これまでのことをいったん振り返ってみるのも悪くないと思い、森戸塾物語と題して数回にわけて書いてみることにしました。

もし、ご興味があればお付き合いください。

森戸塾を始める以前、私はある大手学習塾の社員でした。

それ以前にも学生時代のアルバイトなどで塾の仕事に携わったことはありましたが、本格的に塾の仕事に取り組んだのは、その会社が初めてでした

仕事がとてもハードで、年間を通して退職者が後を絶たないような環境でしたが、私はそこで塾の講師としての基本的な知識とスキルを身につけました。

当時はまだ若かったこともあり、何事に対してもがむしゃらに挑みました。

そんなこともあってか、生徒からはだいぶ信頼されており、仕事そのものはとても楽しいものでした。

昨年ですが、その頃に教えていた生徒の1人が、お子さんを連れて私の塾に来てくれました。

森戸先生の授業をぜひ息子にも受けさせたいと思って。

そう言って、お子さんを私の塾に入れてくれました。

ずっと覚えていてくれたことはもちろんですが、息子さんにも同じ授業を受けさせたいと思ってくれていたことに、塾の先生をやっていて本当に良かったと思いました。

さて、私はその大手学習塾に勤務しているときに、独立して自分の塾を作る決心を固めるわけですが、それには1つの大きな理由がありました。

その塾があまりにも営業面を重視しすぎていたということです。

具体的には、売り上げや生徒数を重視しすぎるあまり、教育面にマイナスの影響が出ることががたびたびありました。

くわしいことは避けますが、これは生徒のためにならないという指示が本社から送られてきたことは、1度や2度ではありません。

今から考えれば若かったなと思いますが、そんな指示にたびたび異を唱えたりしたために、社内での昇進もひじょうに遅いものでした。

しかし、いいこともありました。

じつは妻と出会ったのがこの会社であり、そういった意味では今でもその会社には足を向けて寝ることはできません(笑)。

話を元に戻します。

生徒たちに勉強を教えるのはとても楽しいのですが、私はだんだんとその会社の方針に耐えられなくなっていきました。

また、会社が自分のことを正当に評価してくれていないという不満もあり、独立への思いが芽生え始めました。

もっと生徒のためになる塾が作りたい。

会社が評価をしてくれないのなら、地域の子どもたちに評価をしてもらえばいい。

しばらく考えたのち、妻にそのことを相談しました。

いいよ、やってみたら。

すでに1人目の子どももいたので、当然反対されるだろうと思っていましたが、妻はあっさりとOKを出してくれました。

そして、私は会社に辞表を提出することを決意しました。

当初は1月あたりに退職して、4月にオープンできればと考えていました。

しかし、3月に受験本番を迎える3年生たちのことがどうしても気になります。

いろいろと悩みましたが、結局退職できたのは入試の翌日でした。

そこからようやく物件探しを始めたので、結果として、生徒募集の時期としてはかなり中途半端な6月のオープンとなってしまいました。

当時のことで、今でも強く覚えていることがあります。

じつは、その年の4月に長女が幼稚園に入ることになっていたのですが、入園願書の保護者欄に無職と記入しなければならなかったことです(笑)。

すでに会社は辞めており、塾はまだオープンしていない状態だったので、そう書かざるを得ません。

しかし、養うべき家族がありながら無職と書くのはかなり恥ずかしく、塾がオープンしたら本気でがんばらなくてはと、ずいぶんと身が引き締まる思いがしたのを覚えています。

今日はこのへんで。