こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。
前回から始まった森戸塾物語ですが、今回はその第2回目です。
3月になってやっと会社を辞めることができた私ですが、ゆっくりと休む間もなく開業のための準備に取りかかりました。
まずは塾を開くエリアですが、これはすでに足利市内と決めていました。
理由は2つありました。
まず1つ目は大手学習塾時代の経験から、足利の子どもたちの平均学力が低いことを知っていたからです。
自分の持てる力を最大限に使って、少しでもその底上げに貢献したいと思いました。
かつて勉強の楽しさを知らなかった私は、塾に通うことによってそれを知りました。
そして、成績が上がったことによって、はじめて自分に自信が持てるようになりました。
もともと塾の講師となった動機のなかに、1人でも多くの子どもたちに自分と同じような経験をしてもらいたいというものがありました。
したがって、そういった意味でも足利は、自分が塾を開く場所としてはピッタリだと感じていました。
2つ目は、生徒の引き抜きをしたくなかったからです。
学習塾の世界では、独立する講師による生徒の引き抜きがよくおこります。
建前上は勝手についてきたということになっていますが、じつのところほとんどの場合において、入念に事前の声かけがおこなわれています。
大手学習塾で私が最後に勤務していたのは足利ではなく佐野エリアでした。
正直に言うと、佐野での開業も考えなくはありませんでした。
しかしもしそれをすれば、こちらから声をかけなくても、ある程度の数の生徒が私についてくることが予想されました。
それでは結果として引き抜きをおこなったのと同じことになってしまいます。
前回も書きましたが、確かに私の中には会社に対する不満がありました。
しかし、塾の講師として一人前に育ててもらった恩もあります。
したがって、そのような恩を仇で返すようなことはしたくありませんでした。
そのような理由もあって、私は佐野ではなく足利で塾を開けることに決めました。
開業の準備は、最初の物件探しから難航しました。
不動産屋さんにお願いしたり、自分の足で細かく歩いて探してはみるのですが、いっこうにココという場所が見つかりません。
探し始めてほぼ1か月が過ぎました。
これは、足利以外のエリアも検討しなければならないかと考え始めたころ、不動産屋さんから1本の電話が入りました。
JR足利駅の駅前の物件が空いているがどうですか、という内容でした。
それは、現在では開倫塾さんが入っている細長いビルの1階のテナントでした。
駅前のロータリーからはまったく見えず、奥まっているために旧50号からも見えにくく、昼間でもほとんど日が当たらないという、正直に言って条件的にはどうかなという物件でした。
おまけに内装工事を施す必要もあり、契約をしてもすぐには入居できません。
入居できるのは早くても5月ということです。
蓄えはそんなに大きくありません。
家族の生活費の問題などから、これ以上はオープンを先延ばしにすることはできない状態です。
私は思いきってその物件に決めました。
それからは備品の調達にとりかかりました。
生徒用の机や椅子は新品で揃えました。
営業の方がだいぶがんばってくれて、通常の流通価格よりもかなり安い金額で揃えることができました。
開業資金が潤沢にあったわけではないので、自分が使う机や椅子、書棚などは中古のものを探しました。
当時はまだ近隣に中古のオフィス家具を扱うお店がなかったため、知り合いの会社からトラックを借りて、妻と一緒に埼玉の大宮まで探しにいきました。
今でも覚えているのがその帰り道のことです。
ちょうどお昼時になったので、あるファーストフードのドライブスルーに立ち寄ることにしました。
運転していたトラックはかなり背の高い幌がついているタイプです。
ふだんトラックなど運転したことがない私は、車高のことなどまったく考えず、自分のクルマを運転しているときと同じ感覚で、ドライブスルーに入っていきました。
何を注文しようかなと、そればかり考えていた私の目には、前方に迫る屋根は見えていません。
しかし、あとわずかで激突という瞬間に、危機一髪それに気づきました。
借りたトラックも、ドライブスルーの屋根も壊さずにすみ、ほんとうにホッとしました(笑)。
足利に帰ってきたあとは、積んできた荷物の荷下ろしです。
トラックに積むときはお店の人が手伝ってくれましたが、下ろすときにはもちろん自分たちだけです。
基本的にオフィス家具は金属でできているため、家庭用のものとは違ってどれもがかなりの重量です。
それを妻と2人がかりで荷台から下ろし、細い通路を通ってやっとの思いで教室に運び入れました。
なんだかんだで5月の始めには教室が完成し、これからはいよいよ宣伝と本格的な生徒募集の開始です。
しかし、これがまたまた波乱の連続でした。
今日はこのへんで。