月別アーカイブ: 2019年11月

塾の利益のみなもとは?

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

ここのところ、しばらく太陽を見ていないような気がします。

曇り、曇り、曇り、と、これだけ曇りの日が続くと太陽が恋しくなります。

ほとんど太陽の出ない日本海側の冬は、おそらくこのような感じなのでしょう。

休み時間に生徒がこう言っているのが聞こえました。

「やっぱさぁ、夏は北海道に引っ越して、冬は沖縄に引っ越したいよね!」

私は心の中でこうつぶやきました。

「うん、うん、わかるよ! それと同じこと、俺も中学生の頃から思ってる」

今年で50歳になりましたが、夢はまだ実現できていません(笑)。

ところで、世の中にはさまざまなモノやサービスがあふれています。

実は、このモノやサービスですが、大きく分けて2つに分けることができます。

「快を得るためのもの」と「不快から逃れるためのもの」です。

「快を得るためのもの」とは、お客さんが、楽しい体験や満足感を得るために購入するものです。

例えば、ディズニーランドに行く、おいしいものを食べる、以前から欲しかったものを買う、などです。

いっぽう「不快から逃れるためのもの」とは、お客さんが、困った状況を解決したり、避けたりするために購入するものです。

例えば、弁護士に相談する、医者に行く、保険に入る、などです。

学習塾はどちらでしょうか?

もちろん「不快から逃れるためのもの」です。

学習塾は「合格できなかったらどうしよう」という、困った状況から逃れるために通うところだからです。

「不快から逃れるためのもの」を売るのは大変です。

お客さんにとっては、楽しいものではないので、切羽詰まらないと買ってくれないからです。

また、人は楽しくないものには、あまりお金をかけたくないので、最低限のものしか買ってくれません。

そこで、塾が取る手段はこれです。

生徒や保護者の「不安」を思いっきりあおるのです。

ある塾では、生徒の成績が下がると、すぐに保護者と面談をおこなうそうです。

それだけを聞くと、熱心な塾だなと思いますが、実はそうではないのです。

「お子さんの成績を上げるためには授業の数を増やしてください!」

面談の目的は、追加授業の「売り込み」なのです。

成績が下がったタイミングでの売り込みですから、保護者もついそれにしたがってしまいます。

まさに「不安」につけこんで「一丁上がり」です。

また、多くの学習塾では中3になると、受験に向けてのオプション講座が用意されます。

「取らないと合格できないよ」というのが、お決まりのセールストークです。

「不安」をあおられた生徒は、塾に言われるままに、いくつもの講座を取ります。

しかし、成績がいい子たちは塾の言う通りには申し込みません。

受験に対して「不安」がないので、本当に必要だと思ったもの以外は申し込まないからです。

そこで、塾が考えた作戦がこれです。

「さらにひとつ上の志望校を目指さないか」作戦です。

足高と足女は、足利ではトップの進学校です。

しかし、ほかの地域の進学校とくらべると、レベル的に下がります。

そこで、足高や足女を目指す生徒の中で、比較的成績がいい子に、ほかの地域の進学校を勧めるのです。

そうすれば、その子たちに対しても「不安」をあおることができ、オプション講座を売ることができるからです。

私は、上を目指すことを悪いと言っているわけではありません。

むしろ、素晴らしいことだと思っています。

しかし、塾側の都合のみで、生徒を「誘導」することは、あってはならないと考えているのです。

生徒によっては、そのまま、足高や足女に進んだほうがよかったというケースもあるからです。

無理をして入った高校で、3年間下位のままでいるのであれば、足高や足女で地道にがんばって、そこそこの成績をキープしたほうがいいに決まっています。

中学校のときまで上位にいた子が、万年下位に甘んじなければならないのは、精神的にもつらいものがあります。

また、最近では多くの生徒が「指定校推薦」で大学に進学します。

指定校推薦を受けるためには、もちろん、大学側が求める「評定(高校3年間の成績)」を満たしている必要があります。

その仕組みを考えれば、結果的には足高や足女に進んだほうが良かったという生徒もいるわけです。

このように、学習塾の利益のみなもとは、生徒と保護者の「不安」なのです。

「不安」をたくみにあおって、利益を上げるのが、現在の学習塾業界の姿なのです。

とても残念なことです。

ところで「お前のところも同じじゃないの?」とツッコミが入りそうなので、お答えしておきます。

私のところは、そもそもオプション講座がありませんので、不安のあおりようがありません。

不安をあおるとすれば、なかなか本気にならない生徒に、気合いを入れるときくらいです(笑)。

今日はこのへんで。