授業の後はクタクタです

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

私は朝起きると、まずはスマホでニュースをチェックします。

その日の主要なテーマはもちろん、政治経済から、エンタメやスポーツまで、すべてのジャンルに目を通します。

そのなかで、昨日気になったニュースは、共同通信の「初任給、大卒微増21万200円、高卒も(賃金構造統計)」というものです。

大卒初任給が、前年より1.7% 増えて、21万200円になったという話です。

それを見て思ったのは、私の頃とほとんど変わっていないということです。

私が大学を卒業したのは、1993年(平成5年)です。

就職して手にした初任給は、確か19万円ほどだったと思います。

それから26年も経っているのに、ほとんど変わっていないことに驚きました。

年次統計を調べてみると、1980年では11万4500円、1990年では16万9900円、そして、1995年には19万4200円になっています。

1980年から1995年の15年間で、なんと、2倍近くの伸びです。

しかし、1994年あたりを最後に、このあとはほとんど伸びずに、2008年でやっと20万円を超えました。

この数字を見ると、まさに「失われた20年」を実感します。

そして、この「失われた20年」は、いまや「失われた30年」になろうとしています。

諸外国が順調に経済発展をしていくなか、先進国では日本のみが、ほとんど経済発展できなかったというわけです。

しかも、この間、税金や社会保険などの負担は増え続け、自動車の値段はおよそ2倍となりました。

子どもたちがこれからの日本に希望が持てるよう、政治家の方たちには、ぜひがんばっていただきたいと思います。

さて、私はよく「授業がわかりやすい」と言われます。

プロの塾講師なので、授業がわかりやすいのは当たり前なのですが、やはり、そう言われると嬉しいです。

私は、名前を挙げれば、おそらくこれを読んでいる方の全員が知っているであろう、ある大手学習塾に勤めていました。

その塾では、学期末と講習ごとに、生徒アンケートがあります。

先生の授業を評価する項目がいくつかあり、生徒がそれを5段階で評価するのです。

当時、その塾には150名近くの講師がいたと記憶していますが、私はつねにベスト5に入っていました。

もちろん、トップを取ったことも数え切れないほどあります。

また、優秀社員として表彰されたことも何度もあります。

ですから、塾講師のなかでも、授業が上手なほうであることは間違いないようです。

しかし、ものすごい量の授業練習をしたとか、ものすごい長い時間をかけて授業研究をしたとか、そういったことは、過去も現在もいっさいありません。

では、ほかの講師との違いは何なのでしょう?

人間は、自分のことは意外とよくわかっていませんので、今回あらためて考えてみました。

そして、わかったことはこれです。

「わからせたい!」という気持ちです。

「どうしてもこれを生徒に伝えたい!」

「どうしてもこれを生徒にわかってもらいたい!」

このような思いが、おそらく人一倍強いのだと思います。

ですから、その思いが授業のさまざなま部分に反映されて、生徒にとって「わかりやすい授業」になっているのではないかと思います。

塾の講師は基本的に、子どもが相手の仕事です。

教室の中では、自分ひとりだけが大人です。

ですから、人によっては「お山の大将」になって、自己満足的な授業しかできなくなる講師もいます。

私は授業が終わると、毎日クタクタになります。

でも、この疲れは肉体的なものだけではありません。

精神的にも、ドドッと疲れるのです。

塾の先生になってから20年以上が経ちますが、いまだに授業のときは緊張します。

そして、授業のあとは、反省して一人落ち込みます。

このことは、これからもずっと変わらないでしょう。

ところで、私は授業の時、ひとつだけ強く意識していることがあります。

それは「できるだけ簡単な言葉を使う」ということです。

現在の子どもたちの語彙力が乏しいことは、あちこちで言われている通りです。

「え、こんな言葉も知らないの?」

国語の答案などを見ていて、このように思うことが実際にたびたびあります。

ですから、大人であれば当たり前に知っている言葉であっても、中学生が相手だと使えないこともあるのです。

よく、良い文章とは「だれもがわかる簡単な文章」と言いますが、これと同じで、良い授業とは「だれもがわかる簡単な授業」です。

簡単な授業をするためには、簡単な言葉を使わなければなりません。

そこで、授業の時は、言葉をひとつひとつ慎重に選びながら話すことになります。

これも授業の後、私がクタクタになる理由のひとつなわけです。

でも、それによって生徒の満足度が上がり、成績がアップするのであれば、その甲斐もあるというものです。

今日はこのへんで。