合格へのパスポート

こんにちは。足利の学習塾 森戸塾の森戸です。

お正月を迎えたばかりなのに、早いもので1月もすでに下旬です。

現在、中3生は私立高校入試の真っただ中です。

26日の日曜日には白鴎足利高校の「ランクアップ入試」がおこなわれる予定で、私の塾からもたくさんの生徒が受験をします。

ぜひがんばって、ランクアップを勝ち取ってもらいたいと思います。

ところで、入試に合格するためには何が必要でしょうか?

もちろん、合格できるだけの「実力」です。

実はあともうひとつあります。

「どうしても合格するんだ!」という「気力」です。

「気力」は「実力」を大きく引き上げます。

足りない「実力」を「気力」によって埋め合わせ、最終的に見事に合格を勝ち取る生徒もたくさんいます。

森戸塾がオープンしたばかりの頃の話です。

ある生徒から相談を受けました。

名前をNさんとします。

学校の三者面談で、県立高校の合格はきびしそうなので、私立高校を「単願」で受験することを勧められたそうです。

しかし、どうしても行きたい県立高校があり、それをあきらめられないということです。

そこで、私はこのようにアドバイスをしました。

県立高校の受験はあきらめる必要はないが、その代わりに私立高校は最低3校出願すること。

現在は極端な少子化の時代ですから、私立高校はどこの高校でも、生徒の確保に大変な苦労をしています。

ですから、以前であれば「単願」で受験しなければ合格できなかったような学力の生徒でも、現在では、けっこう「併願」で合格できます。

しかし、絶対ではないので、保険をかける意味で3校程度の出願は必要です。

Nさんは私のアドバイスにしたがって、私立高校を「併願」で受験しました。

結果は予想通り「合格」でした。

それから何日かたったある日の授業で、私はクラス全体にこのような話をしました。

最後に合格を勝ち取るのは、気持ちで勝る受験生である。

そのためには「絶対に合格するんだ!」という「気力」をフルに持つこと。

そのためにも、2つのことを必ず守ってほしい。

1つは、模擬テストも含め、試験の時は最後の1秒まで時間を無駄にしない。

たとえ、わからない問題があっても、残りの時間があれば、あきらめないで最後まで考え抜くこと。

もう1つは、解答欄を絶対に空白のままにしない。

たとえわからなくても、思いついたことがあれば必ず書くこと。

何も書いていない解答欄に部分点が与えられることはないが、何かが書かれていれば、部分点がもらえる可能性はある。

わずかな点数であっても、それがいくつも積み重なれば、合否を左右する点数になる可能性は十分にある。

このように、合格に向かっての心構えを話しました。

それから何日かたったある日のことです。

私は社会の模擬テストの採点をしていました。

地理の問題で、関東地方に広がる平らな地形の名前を問う問題が出ていました。

答えはもちろん「関東平野」です。

しかし、Nさんの答えは違っていました。

「地面」と書いてあったのです。

私は一瞬「何だ?」と思いましたが、すぐに気がつきました。

「解答欄を空白のままにしない」

私の言ったことを忠実に守ったのです。

Nさんの真剣さがひしひしと伝わってきました。

正直に言うと、私はNさんが県立高校に合格するのは、ちょっときびしいのではないかと思っていました。

しかし、私立高校を単願で受験してしまったら、第一志望の県立高校に「挑戦」することすらできずに受験を終えることになってしまいます。

たとえダメであっても、挑戦したうえの結果であれば、Nさんも納得ができると思ってしたアドバイスだったことも事実です。

しかし、この「地面」という答えから、Nさんの「どうしても合格するんだ!」という「気力」を感じた私は、それまでの考えを改めました。

「もしかしたら合格できるかもしれない」

その後も、Nさんの合格に向けての真剣な受験勉強は続きました。

相変わらずとんちんかんな答えもありましたが、日増しに正しい答えも増えていきました。

そして、運命の日。

結果は「合格」でした。

合格発表の会場からそのまま、満面の笑みで合格の報告をしに来てくれました。

それから10年以上の年月が経ちますが、三者面談の時期になると、ほぼ毎年のように同じような相談を受けます。

そのたびに、私は生徒にNさんの話をします。

そして、かならずこう聞きます。

「この生徒と同じくらいの気力をもって、勉強に取り組めば合格できるけど、どうする?」

すると、ほとんどの生徒がこう言います。

「自分もがんばります!」

そして、学校で「県立は無理」と言われたのにもかかわらず、県立高校に合格していくのです。

やはり「気力」は足りない「実力」を引き伸ばし、合格へと導いてくれるパスポートなのです。

生徒たちがそのパスポートを手にできるよう、しっかりと導いていきたいと思います。

今日はこのへんで。